ワーキングプアの定義とは?年収いくらから?ワーキングプアから脱出する方法
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ワーキングプアの定義とは?年収いくらから?ワーキングプアから脱出する方法

両手で頬杖をついて目を閉じてうつむく女性

ワーキングプアの意味とは?ワーキングプアに該当する年収は?

「働いているのに貧困から抜け出せない労働者」を「ワーキングプア」と呼び、その言葉が日本国内に定着してもう何年も経ちます。ワーキングプアはもともと、アメリカの労働者層に関する問題意識から生まれた言葉です。長期にわたるデフレの影響や非正規労働者の増加などで、労働者の収入が増えない状況が続く日本でも頻繁に用いられるようになりました。
今回は、深刻な社会問題となっている「ワーキングプア」の正しい定義や、ワーキングプアから脱出する方法をご紹介します。「自分はワーキングプアに当てはまるかもしれない」「今こそワーキングプアを卒業し、収入アップに向けて自分を変えたい」とお考えの方は、ぜひご参考にしてください。

ワーキングプアとは

建設現場で相談する2人の男性

メディアでもよく言及される「ワーキングプア」という呼称は、いくつかの特徴に基づいた特定の労働者層に対して用いられます。

正社員や正規職員、またはフルタイム勤務の非正規労働者

一方に時計、もう一方に硬貨が載せられたシーソー

「ワーキングプア=アルバイトや派遣社員などの非正規労働者」と誤解している方も多いのですが、実はワーキングプアの定義はその限りではありません。「フルタイム(週5日以上、1日あたり7時間以上)働いているのに、それに見合った適正な収入を得られていない人」であれば、正社員や正規職員として勤務していてもワーキングプアとみなされます。

働き続けても年収が増えず、何年働いても生活に余裕が生まれない

労働者とカレンダー

たとえ職に就いた時点で収入が少なくても、年功や成果によって収入が増える見込みがある労働者は、ワーキングプアには該当しません。しかし、今後の昇給や出世・昇進が見込めず、このまま働き続ける限り低収入のまま労働を強いられる、と分かっているなら「ワーキングプア」の定義に該当すると考えられます。

具体的に「ワーキングプア層」とみなされるのは、「フルタイムで働いているのに、生活保護受給者に支給される金額の基準値よりも低い収入しか得られていない人たち」といわれています。

ワーキングプアの年収ラインは?

年収の推移を表すグラフ

ワーキングプアに該当する人は、諸外国の場合には各国が定義している「貧困線」を下回る収入しか得られていない人たち、とされています。しかし、日本では貧困線が設けられていないため、一定の年収を境にそれ以下の年収しか得られていない人たちを指す場合が多くなっています。

年収200万円以下だと、ワーキングプアに該当する可能性

電卓と通帳を持って悩む女性

日本国内でワーキングプアに該当する人の年収ラインは、「200万円」といわれています。ただし、地域的特性などもあるため「年収が額面で200万円を下回れば、誰もがワーキングプアに該当する」とは言い切れない部分もあります。そのため、概ね年収が200万円以下で、次にご紹介する生活でのお悩みを抱えている場合、ワーキングプアの可能性があると考えられます。

年収のほか、こんなお悩みがあったらワーキングプアかも

ガラケーの上に座って腕組みをする人形

  • 正社員、正規職員なのに給与が低く毎月の生活がギリギリ
  • 非正規雇用などで収入が低いうえに、今後の昇給・昇進の可能性もない
  • ボーナスなどの一時金もなく、時給や日給月給制で目立った福利厚生も得られない
  • 社会保険や雇用保険などの社会的な保証が十分に受けられていない

ワーキングプアと呼ばれる人の特徴

両手で頭を抱えるスーツ姿の男性

就職氷河期世代で、新卒での就職に失敗しているケース

就職氷河期と呼ばれる、1990年代半ばから2000年代半ばまでの時期に新卒での就職活動を経験した世代は、ワーキングプアになってしまう比率も高いといわれています。完全な買い手市場の中で働く能力が十分にあっても、就職活動がうまくいかず、非正規での仕事を転々としながら現在もやっとのことで生活しているという層が少なくありません。

ひとり親世帯で、育児と仕事をなんとか両立させているケース

シングルマザーやシングルファーザーなど、ひとり親世帯で子育てをする境遇の人の場合は、自分だけの収入で家族全員を養わなければなりません。また、育児をサポートしてくれる親族などにも恵まれないケースもあります。そのため、1人の手で育児と仕事を並行させなければならず、就ける職種にも制約が生まれて、高収入な仕事に恵まれる可能性も低くなってしまいます。

高学歴ワーキングプアと呼ばれるケース

大学院で修士・博士課程を修了しても見合った就職先に恵まれず、非正規やブラック企業などで低賃金の労働を強いられている人も少なくありません。従来の「大学院に進めば教育機関や学術機関などでそのまま働ける」という人材の流れが、近年の少子化によって断ち切られつつあることが影響していると考えられています。また、新卒として扱われる就職活動において、年齢がマイナス要素となる事例も多いのが特徴です。

ワーキングプアに陥りがちな方の特徴や経歴を見ていくと、必ずしも働く能力に乏しかったり、意欲に欠けていたりするわけではありません。ワーキングプアは、「頑張っているのに報われにくい人たち」であるとも言い換えられそうですね。

そこで次の項目からは、ワーキングプアと呼ばれる状況から脱するための、さまざまな方法や手段についてご紹介します。一念発起して行動することで、働いても一向に楽にならない状況から一刻も早く抜け出しましょう。ただ頑張るだけでなく、ちょっとした役立つ知識を身につけているだけで、ご自分の状況を有利な方向へ持っていけるかもしれません。

ワーキングプアから脱出する方法

ここでは、ワーキングプアと呼ばれる苦しい状況からできるだけ早く脱出を図る手段や、行動するときのポイントについてご紹介します。

転職して年収を増やす

「ここで頑張っていても先が見えない」と思ったら、早急に転職を考えることも一案です。
みなさんが就職した時点では、買い手市場で職に就くことさえ難しかったかもしれませんが、近年は状況が一転してどの業界でも慢性的な人手不足状態が続いています。実際、「とにかく人手が欲しい」という切実な事情で、初任給を上げて求人を出す会社が増えているのが現状です。

就職活動そのものがトラウマになっている方も多いかもしれませんが、勇気を出して転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。思ったより高収入で、働きやすい職場が見つかる可能性も十分にあります。

固定支出を減らす

地域によっては物価や家賃が比較的安く、年収200万円程度であっても困らず、貯金しながら暮らしていける場合もあります。もし、「支出を少し減らせば生活のめどが立つ」と分かっているなら、スマートフォンを格安スマホに替えたり、加入している保険を見直したりするなどの方法で、無理のない程度に固定費を節約してみましょう。

生活が苦しくなるほどの節約をしなくても、状況によっては暮らしを楽にすることができるかもしれません。少し余裕のある生活を続けてエネルギーを蓄え、モチベーションが上がったら、高収入の仕事を探して転職を考えてみるのもおすすめです。

副業をして年収を増やす

最近、「副業解禁」に関する報道が多くされるようになりました。みなさんがお勤めの会社でも、副業をすることが許可されたという方も多いでしょう。そのような背景から、本業に支障のない範囲内でできる副業も増えてきました。

たとえば、本業での身体的負担がそれほどないなら、休日にイベント手伝いなどの単発アルバイトを入れる方法もよいでしょう。あるいは、家でできる副業に限定したいなら、クラウドソーシングなどを利用してパソコンさえあればできる副業を始める、という手もあります。

ただし、クラウドソーシングで提供される初心者向けの仕事は賃金も低いことが多く、ある程度実績を積まなければ高給の案件に出会うチャンスを得られない可能性もあるため、注意が必要です。

また、資格を持っている方なら、かなり条件のよい単発アルバイトが見つかる可能性もあるでしょう。たとえば看護師の資格をお持ちなら、イベント会場での救護室勤務などの仕事がありますし、外国語に関する資格をお持ちなら単発の通訳アルバイトなどもあります。

支援団体に相談する

どうしても貧困状態から抜け出せず、日常生活もままならないという状況になっていれば、早めに専門家へ相談しましょう。ワーキングプアに対する支援団体は、探してみると意外に多く存在します。
たとえば、生活に困窮している人を対象に自立を支援する団体や、日雇い労働などにおける第三者の搾取によって、生活に困っている方専門の団体、士業を営む専門家が生活や法律、住まいなどに関する相談を受けてくれる相談会などが各地で定期的に開催されています。

もし、日々の生活で食べることや住むことにも困っている状況であれば、これらの支援団体に相談してみましょう。そして今後、生活保護の受給を検討しているなら、法律に関する専門家が申請を手伝ってくれる団体あるので、利用を検討してはいかがでしょうか。

税金の減額申請をする

本来、働いている人が納める税金は、給与から天引きされています。しかし、課せられる税金の種類によっては、納めること自体が大変になってしまうことも想定できます。たとえば、ご家族と死別されたなどで、そのご家族に生前課された税金を代わり納める場合です。また、転職などで前年度の収入から算出された、住民税の実費納付を求められることも考えられます。

実際に税金の減免や免除がおこなわれるケースは、ご本人が生活保護を受けることになったとき、大規模災害などで生活に支障をきたしてしまったときに限られます。ただし、一括納付が難しい場合は、事情を説明することで大抵のケースで分納には応じてもらえます。すぐに税金を納められないという場合は、まず納付先に相談してみましょう。また万が一、失業してしまったときは、国民年金に関しては一定期間内の免除や減額の申請をすることができます。

借金があるなら債務整理などを検討する

ワーキングプア状態に加えて借金の返済があり、さらに生活が苦しい状態にある方もいるかもしれません。
そんな場合は無理をせず、債務整理をして返済義務から抜け出す方法を検討してみてください。またほかにも「過払い金請求」によって、返済額を減らしたり無くしたりする手段もあります。

債務整理とは

債務整理には「任意整理」と「自己破産」の2つがあり、任意整理とは法的手段をとらずに債務者と債権者が協議によって、現在残っている借金の減額をおこなう方法です。裁判はおこないませんが、専門家に間に入ってもらい、協議や手続きを代行してもらうことも可能です。

また、自己破産をすれば、この先は借金の返済をほぼしなくて済むようになります。しかし、ある程度の財産を手放す必要がある場合や、一定期間は社会的信用に支障をきたす場合も考えられます。しかし、借金が生活そのものや心身の健康に影響を及ぼし続けている状態であれば、まず生き延びることを最優先して、自己破産の決断が必要となることも念頭に置いておきましょう。

過払い金請求とは

10年以上前から借金があり、高い金利で長く返済を続けている人の場合は、「過払い金」が発生している可能性があります。もし過払い金があれば、弁護士に手続きを代行してもらってそれを請求することが可能です。過払い金があれば、今ある借金を減らしたりゼロにしたりできる場合もあるため、心当たりがあればまずは法律事務所などに相談してみるとよいでしょう。

心身の健康を害する前に脱ワーキングプアの手段を模索しよう

今回は、ワーキングプアと呼ばれる状況の定義や特徴、そしてワーキングプアを脱出するための数々の手段についてご紹介しました。

ワーキングプアという状況に陥っても、一生そこから脱することができないわけではありません。ワーキングプアから脱却する手段はさまざまあるので、その中からご自分に合った方法を選択して行動するのみです。

もしかしたら、「人に相談することは恥ずかしい」「周りの目が気になる」などと考えて、ワーキングプアから脱するための行動を自粛してしまう方もいるでしょう。しかし、無理をして我慢を続けていると、ワーキングプアから脱するためのモチベーションさえ失われてしまうかもしれません。生活が困窮してしまって、心身の健康を害してしまうなどの事態に発展する前に、まずは脱ワーキングプアを図るための手段を模索してみてください。

高橋 成寿
高橋 成寿

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。