奨学金とは?種類や申込基準など奨学金制度を分かりやすく解説

奨学金とは?種類や申込基準など奨学金制度を分かりやすく解説

奨学金制度

奨学金制度の種類と申込基準について

人生の3大支出といわれるのは、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」の3つです。このうち教育資金については、子供が生まれた時点でいつ、どれくらいの費用がかかるのか、予定が立てやすい支出であるといわれることがあります。

しかし、教育費のピーク時には、家計が赤字になるケースも多く、貯蓄だけでは賄えない場合があります。祖父母から教育資金贈与を受けられる方は、それに頼るのも1つの方法ですが、全員が恵まれた環境にあるとは限りません。2人~3人子供がいる場合は、なおさら大きな負担がかかります。

そんなとき、一番に頼りたい制度として、奨学金制度が挙げられるのではないでしょうか。今回は、奨学金の中でも最も利用者が多い日本学生支援機構の種類や審査についてご紹介します。

奨学金はどんな制度?

奨学金とは

奨学金とは、高校や大学などに進学する際にかかる入学金や学費などの費用を補てんし、所得による進学・教育格差をなくすために設けられた制度です。

大きく分けると、「貸与型」「給付型」に分けられます。貸与型は返済の義務があり、利息がかかるものと、かからないものがあります。一方で、給付型は返済の義務がありません。

利用者が最も多い「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」が提供する第一種、第二種奨学金は、貸与型に分類されます。近年は給付型奨学金の必要性が叫ばれていることもあり、給付型の奨学金を提供する自治体や大学なども出てきていますが、まだ一般的とはいえないでしょう。日本学生支援機構も給付型の奨学金を取り扱っていますが、所得などの利用条件が厳しく、給付額も十分なものとはいえません。

学費負担は年々大きくなる一方で、世帯所得は伸び悩んでおり、教育費の負担は近年増加傾向にあります。進学のチャンスを逃さないためにも、ぜひ奨学金制度を積極的に活用しましょう。

日本学生支援機構の奨学金の種類

生活保護費

前述の通り、奨学金には「給付型」と「貸与型」の2種類があります。

ここでは代表的な奨学金制度の運営組織である、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度についてご紹介します。

給付型と貸与型

給付型と貸与型

日本学生支援機構が提供する「給付型」と「貸与型」について、詳しく見ていきましょう。

「給付型」

【募集対象】

大学、短大、専修学校に進学、高等専門学校4年に進級を予定している方で、次のどちらかに該当する方

  • 住民税非課税世帯(市町村民税所得割額が0円)の方、または生活保護受給世帯の方
  • 社会的養護を必要とする方(18歳時点で児童養護施設等に入所している方など)

【推薦基準】

人物、健康、学力および資質、家計を総合的に判断

【給付金額】

<大学、短期大学、高等専門学校(4~5年)、専修学校の専門課程>

国公立に進学で、自宅通学の場合 月額2万円
国公立に進学で、自宅外通学の場合 月額3万円
私立に進学で、自宅通学の場合 月額3万円
私立に進学で、自宅外通学の場合 月額4万円

※国立大学で授業料の全額免除を受ける場合は給付月額が減額されます。

<通信教育課程(大学、短期大学、専修学校の専門課程)>

夏季または冬季スクーリング、放送大学第一学期
または第二学期の面接授業の場合
年額5万円(自宅通学、自宅外通学どちらも)
通年スクーリング(大学)で自宅通学の場合 月額3万円
通年スクーリング(大学)で自宅外通学の場合 月額4万円

※面接授業を受講する年度に年額支給、通年スクーリングの場合は月額が支給されます。

「貸与型(第一種(無利息))」

【募集対象】

国内の大学、短期大学、専修学校、高等専門学校に進学を予定している方、または在学中の方

【推薦基準】

特に優れた学生または生徒で、経済的理由により著しく就学困難な方

【貸与金額(平成30年度以降入学者の貸与)】

貸与金額はいくつか選択肢があり、その中から必要に応じて選択できます。

<大学、短期大学、専修学校(専門課程)>

国公立に進学で、自宅通学の場合 月額2万円、3万円、4万5,000円
国公立に進学で、自宅外通学の場合 月額2万、3万円、4万円、5万1,000円
私立に進学で、自宅通学の場合 月額2万円、3万円、4万円、5万4,000円(短期大学、専修学校の場合、5万3,000円)
私立に進学で、自宅外通学の場合 月額2万円、3万円、4万円、5万円、6万4,000円(短期大学、専修学校の場合、6万円)

<大学院>

修士課程相当の場合 月額5万円または8万円
博士課程相当の場合 月額8万円または12万2,000円

<高等専門学校>

国公立に進学で
自宅通学の場合
1~3年生で月額1万円または2万1,000円、4・5年生・専攻科で月額2万円、3万円、4万5,000円
国公立に進学で
自宅外通学の場合
1~3年生で月額1万円または2万2,500円、4・5年生・専攻科で月額2万円、3万円、4万円、5万1,000円
私立に進学で
自宅通学の場合
1~3年生で月額1万円または3万2,000円、4・5年生・専攻科で月額2万円、3万円、4万円、5万3,000円
私立に進学で
自宅外通学の場合
1~3年生で月額1万円または3万5,000円、4・5年生・専攻科で月額2万円、3万円、4万円、5万円、6万円

【返済方法】

貸与が終了した月の翌月から起算して7カ月目から返済開始。月賦もしくは月賦半年賦併用払いにて返済していきます。

「貸与型(第二種(利息がつくタイプ))」

【募集対象】

国内の大学、短期大学、専修学校、高等専門学校(4.5年生のみ)の学生または生徒が対象

【推薦基準】

第一種よりも比較的緩やかな基準によって選考された方

【貸与金額】

第一種と同様で、いつくかの選択肢の中から、必要に応じて利用することが可能です。

<大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生、専攻科)、専修学校(専門課程)>

月額2~12万円のまでの金額から1万円刻みで選択

私立大学の医学・歯学の課程の場合 12万円に4万円増額可能
私立大学の薬学・獣医学の課程の場合 12万円に2万円増額可能

<大学院>

月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円の中から選択

※法科大学院の法学を履修する場合、15万円に4万円または7万円の増額が可能

【利率】

上限3%で、貸与終了月によって定められた利率

※「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類から選択できます。

【返済方法】

第一種と同様で、貸与が終了した月の翌月から起算して7カ月目から返済開始。月賦もしくは月賦半年賦併用払いにて返済していきます。

予約採用と在学採用

在学採用

奨学金の採用には、大学や短期大学などへ進学する前に申し込む「予約採用」と、大学や短期大学などへ入学後の在学中に申し込む「在学採用」があります。

予約採用

大学、短大、専修学校に進学を予定している方は、原則として在学している学校から日本学生支援機構へ申し込みをします。

機構は申込者の中から採用候補者を選定し、「採用候補者決定通知」を交付します。

採用候補者は進学後、「進学届」「返還誓約書」などの必要書類を提出して手続きが完了します。

予約採用の場合でも、手続き時期によっては初回の奨学金が振り込まれるのが6月になることがあります(4、5、6月分をまとめて振り込まれます)。手続きを最短で行ったとしたとしても、初回振り込みは4月の終わりごろです。そのため、受験にかかる費用はもちろん、入学金や前期の授業料、下宿する場合にかかる諸費用は別途準備する必要があります。

在学採用

大学や短期大学などへの進学後の在学中に、奨学金の貸与を利用したい場合は、所属大学の学生課など、奨学金を取り扱う窓口を通して申し込みを行います。申し込みに基づく学校からの推薦を受けて、機構が採用者を決定します。在学申し込みは毎年春に募集を行っています。

日本学生支援機構の奨学金の申込方法

進学前の生徒に関しては、在学中の学校から「予約採用」の申し込みを、進学後の学生は在学する学校の奨学金窓口から「在学採用」の申し込みをします。

それぞれ募集時期が決まっているため、奨学金利用を考えている方は、申し込みなどのスケジュールを学校に確認するようにしましょう。

日本学生支援機構の奨学金審査のポイント

学力基準

奨学金採用は、「学力」と「家計」の観点から審査されます。

以下、ポイントをご紹介します。

学力基準

「給付型」

各学校の教育目標に照らして、十分に満足できる高い学習成績を収めているかなどが基準になります。

「第一種貸与型」

予約採用:高校1年生から申込時までの成績の平均値が3.5以上の方。

在学採用:高等学校最終2カ年または専修高等学校最終2カ年の成績が3.5以上であること。高等専門学校の場合、中学3年生の成績が平均3.5以上または高等専門学校における成績が分かっている方は、その成績が平均水準以上であることが基準です。

「第二種貸与型」

予約採用:高校での成績が平均水準以上であること。

在学採用:出身学校または大学における成績(高等専門学校の場合、高等専門学校の所属する学科の成績のみ)が平均水準以上であることが基準です。

家計基準

「給付型」

推薦者の募集条件を満たした上で、家計により、進学が非常に困難な状況にあると認められること。

「第一種貸与型」

世帯収入がおよそ以下の金額以内であること。

世帯人数3人 給与所得者657万円、給与所得者以外286万円
世帯人数4人 給与所得者747万円、給与所得者以外349万円
世帯人数5人 給与所得者922万円、給与所得者以外514万円
「第二種貸与型」

世帯収入がおよそ以下の金額以内であること。

世帯人数3人 給与所得者1,009万円、給与所得者以外 601万円
世帯人数4人 給与所得者1,100万円、給与所得者以外 692万円
世帯人数5人 給与所得者1,300万円、給与所得者以外 892万円

※大学、短期大学、専修学校(専門課程)へ進学前に事前に奨学金に申し込む場合に適用される基準です。

日本学生支援機構の審査に落ちた場合の対処法

日本学生支援機構の奨学金の審査基準を満たさず、奨学金採用されなかった場合、どのような対処方法があるのでしょうか。

ここでは、奨学金審査に落ちた場合の対処法についてご紹介します。

日本学生支援機構以外の奨学金を探す

日本学生支援機構以外の奨学金を探す

地方自治体が実施している奨学金制度や、新聞社などの民間団体が提供している奨学金制度を利用する方法があります。家庭の経済状況、学力などを審査されるという点では共通したものがありますが、どういった点を重視するかは実施団体によってさまざまです。

貸与型のみならず、給付型の奨学金もあり、他の制度との併用ができるものもあります。

また、大学が独自に設けている奨学金制度の利用も検討しましょう。成績優秀者やスポーツなどで優れた成績を残した学生に対し、奨学金を給付したり、学費を免除したりする制度がある大学も存在します。志望大学が決まっている場合は、志望する大学がどのような奨学金制度を実施しているか確認しましょう。

教育ローンを利用する

教育ローンを利用する

銀行などの金融機関が取り扱っている目的ローンの1つ、「教育ローン」を利用する方法もあります。公的なものとしては、日本政策金融公庫が取り扱う商品が有名です。公庫の教育ローンのほうが、所得等の条件面に制約がありますが、金利は銀行の教育ローンよりもかなり有利といえます。

銀行の教育ローンは所得制限がなく、幅広い方が利用することができます。ただし、金利は公庫の教育ローンや有利子型の奨学金と比較して割高です。なお、利用用途は学費や入学金、留学資金などの教育関連費用に限定されます。

奨学金が学生本人名義で利用できるのに対し、教育ローンは保護者名義で借り入れすることが原則です。

カードローンを利用する

カードローンを利用する

カードローンの一番の特徴は、利用目的の制限がないことです。そのため、カードローンであれば、教育関連費用に利用することもできますし、教育費負担で手薄になった生活資金として利用することが可能です。申し込みから借り入れまでの時間が一番短く、利便性の高さがメリットといえます。

金利は有利子型奨学金よりも割高ですが、銀行系の低金利カードローンを利用すれば、場合によっては教育ローンとさほど変わらない金利での利用が可能な場合があります。

カードローンは、未成年者の利用ができないため、保護者名義で借り入れするのが前提です。

学費の支払いは奨学金の利用を検討する

今回は、奨学金制度の概要や日本学生支援機構の奨学金の種類、申し込み基準などをご紹介しました。

私立の小学校に通わせる場合は別として、通常は高校から大学にかけて、教育費のピークになる時期です。兄弟姉妹がいる場合は、年齢差にもよりますが、さらに負担が重くなることでしょう。まさに家計の正念場です。

教育費は貯蓄や学資保険など、時間をかけて準備する方法が一番有効ですが、それだけでは賄えないことがあります。また、準備不足で十分な資金を用意できない場合もあるでしょう。そんなときは、奨学金の利用を検討してみるのはいかがでしょうか。

奨学金の利用ができない場合は、教育ローンやカードローンなど、その他の方法で資金を調達することが可能です。

いずれの場合も、返済計画をしっかり立ててから利用することをおすすめします。

 
田中 裕晃
田中 裕晃

CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/マンション管理士/ 住宅ローンアドバイザー/賃貸不動産経営管理士 他
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当

大手賃貸仲介業者に就職し、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。不動産業を営む傍ら、ファイナンシャルプランナーとしても活動中。

住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、不動産投資、相続対策などに関しての相談業務を行っている。

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