公的年金保険とは?年金制度の仕組みを基本から解説します!

公的年金保険とは?年金制度の仕組みを基本から解説します!

公的年金保険

公的年金保険とは?公的年金制度の仕組みについて

基礎から老後の生活を支援するため、あるいは20歳以降に一定の病気やケガによる障害があったときなどに、国が社会保障の向上と増進を目的として「公的年金保険制度」を施行しています。

今回は、公的年金保険の仕組みと構造、および年金保険料と受給額についてご紹介します。公的年金保険制度は、その歴史的発展経過から非常に複雑な制度になっているため、まずは基本となる部分を中心に解説しましょう。

公的年金保険制度の仕組み

公的年金保険制度の仕組み

憲法25条では、国民の生存権と国の社会的使命を宣言しています。

国民は、健康かつ文化的な最低限度の生活をする権利があることから、国は生活支援や生活保護の施策を実行し、第2項では医療や介護、年金などを社会的使命として保険制度を確立しています。そしてこのうちの公的年金保険制度は、昭和61年4月にそれまでの制度を大幅に改定し、改定前の法律を旧法(※1)、改定後の法律を新法として今日まで施行されています。

以下では、新法の仕組みについてご紹介しましょう。

(※1)旧法:昭和61年3月までの公的年金保険に関する法律を旧法、4月からの法律を新法として区別しています。昭和61年3月までに公的年金保険を支給される権利を有した方々は、いまでも旧法のもとで受給しています。

公的年金保険は2層構造

新法での公的年金保険は、2層構造(あるいは2階建て構造)と言われています。

国民全員が一定の年齢に達すると必ず加入することになっている1層(あるいは1階)部分と、サラリーマンや公務員が給与額に応じた保険料を支払うことで、1層部分とは別に公的年金保険を受給できる2層(あるいは2階)部分で構成されるからです。

1層部分だけの年金を受給する人々は、サラリーマンでも公務員でもない、いわゆる自営業の方です。もちろん、自営業の方でも長い人生の中で、一時的にサラリーマンや公務員を経験されたことがあった場合は、1層部分だけではなくその期間に見合った2層部分も受給することができます。

国民年金(基礎年金)

2層構造の1層部分の公的年金保険が、国民年金(基礎年金)です。

なぜ国民年金が基礎年金とも呼ばれているかと言うと、基礎年金は職業にかかわらず、一定の保険料を納めていれば必ず受給する年金だからです。また、国民年金保険料のみを納めている被保険者を第1号被保険者と言います。

厚生年金

2層構造の2層部分の公的年金保険を厚生年金と言います。

平成27年9月までは、公務員や私立学校の教職員が受給する公的年金保険を、共済年金と呼んでいました。しかし、それまでの厚生年金と共済年金を一元化し、平成27年10月以降からどちらも厚生年金になりました。

また、厚生年金の特徴として、厚生年金保険料を納めている被保険者は、同時に国民年金保険料も納めているとみなされます。すなわち、厚生年金の被保険者は、国民年金の被保険者でもあるのです。厚生年金保険料を納める被保険者を、国民年金の第2号被保険者、扶養される配偶者は第3号被保険者になります。

加入する年金の種類

加入する年金の種類

国民年金と厚生年金については先ほどお伝えしたとおりで、平成27年9月までは職業形態により、国民年金のみに加入する人、国民年金と厚生年金、あるいは国民年金と共済年金に加入する人がいました。しかし、平成27年10月から共済年金という呼び方がなくなり、国民年金のみに加入する人と、国民年金と厚生年金に加入する人になりました。

国民年金

国民年金

学生はもちろん、どのような職業に従事していても20歳以降は国民年金制度に強制加入し、国民年金保険料を支払います。国民年金保険料は原則的に、20~60歳までの日本に住所を持つ人(外国人も)に支払いの義務があります。

また、条件によっては60歳以降でも、65歳や70歳まで国民年金保険料を支払えるでしょう。条件次第では、国民年金保険料が免除されるケースや、支払いを猶予されるケースもあります。

法定免除

憲法25条第1項に基づく最低限度の生活を営むため、国から生活保護を受けている人は、申請すれば国民年金保険料の法定免除制度が適用されます。また、のちに解説する障害年金を受給している人も、申請すれば国民年金保険料が免除されます。

免除とは、国民年金保険料を支払わなくても良いということですが、実際に国民年金を受給するときの年金額は半額です。免除されていた期間の年金額を全額受給したいのであれば、生活に潤いが出たときなどに追納しましょう。過去の法定免除期間の国民年金保険料を支払うことで、国民年金保険料を全額納めたことになります。また、障害年金受給者等、法定免除を受けながら追納ではなく、同時に国民年金保険料を支払うことも可能です。

申請免除

法定免除は限定的な条件でのみ受けることができます。生活保護を受けるほどではないが所得が少ない、といった理由があって認定されれば、国民年金保険料が一部免除されるでしょう。

免除の程度は、4分の1免除、2分の1免除、4分の3免除があり、それぞれ申請者の所得額で決まります。この場合も、のちに追納で免除額相当の国民年金保険料を納めることで、全額納めたことにできます。

学生納付特例制度

本人の所得条件によって学生(※2)は申請をすることで、在学中は納付が猶予になります。猶予は免除とは違い、猶予期間の国民年金保険料は未納とみなされるため、のちに全額追納できます。

(※2)学生:夜間や定時制課程・通信課程を問わず、大学院・大学・短期大学・高等学校・高等専門学校・特別支援学校・専修学校および各種学校、海外大学(日本分校)に在学する人です。

保険料納付猶予制度

学生でなくても、20歳~50歳未満で収入が少ないなどの理由から申請し認定されれば、国民年金保険料の納入が猶予されます。

免除の程度は、学生納付特例制度と同様、4分の1免除、2分の1免除、4分の3免除です。それぞれ申請者、配偶者がいる方は配偶者等の所得額で決まります。この場合ものちに追納することで、保険料を全額納めたことにできます。

厚生年金

厚生年金

サラリーマン、公務員、私立学校の教職員が入る公的年金保険制度です。パートタイマーでも1週間に20時間(会社の規模によっては30時間)以上の労働をする場合は、厚生年金に加入します。

厚生年金は、国民年金のように年齢による加入条件はありません。15歳で就職したとしても、厚生年金に加入します。しかし、厚生年金に加入できる年齢の上限は70歳です。

共済年金

共済年金

従来まで、国家公務員や地方公務員として勤務する人は共済年金に加入していました。しかし、現在では厚生年金と統一されたので、国家公務員や地方公務員の方も厚生年金の加入者となります。

受給する年金の種類

つぎに、年金の受給形態はどのように決まるのでしょうか。

一度もサラリーマンや公務員として働いたことがなく、ずっと自営業を営んできた人は老齢基礎年金、平成27年9月までに公務員あるいは私立学校の教職員を経験し、年金の受給権を得た人は、2層部分として共済年金を受給します。

一方、サラリーマン経験者、あるいは平成27年10月以降の公務員や私立学校の教職員経験者は、2層部分として厚生年金を受給します。

老齢年金

年金制度に加入し、国民年金保険料(※3)を一定期間納めた人に受給資格が与えられます。受給年齢に達すると、老齢年金を終身受給できます。

(※3)国民年金保険料:20歳~60歳直前までの40年間(480カ月間)のうち、10年(120カ月)以上の期間納めていれば老齢年金の受給資格を得ます。平成30年度の国民年金保険料は毎月1万6,340円です。

老齢基礎年金

一定期間の国民年金保険料を納めた人は、原則65歳から老齢基礎年金を終身受給できます。老齢基礎年金を60歳~65歳直前までに、開始年齢を繰り上げての受給も可能です。ただし、繰り上げを1カ月行うごとに0.5%受給額が減ってしまいます。

また、老齢基礎年金を66歳~70歳まで、開始年齢を繰り下げて受給することもできます。この場合、1カ月繰り下げるごとに受給額が0.7%増える計算です。繰り上げも繰り下げもいったん決めたら以後変更はできず、終身その額を受給することになります。

老齢厚生年金

厚生年金保険料の納付をしたことがあり、老齢基礎年金の受給資格を満たす人は、老齢厚生年金を終身受給できます。老齢厚生年金の開始年齢は、被保険者の生年月日で決定され、男性は昭和36年4月2日以降生まれ、女性は昭和41年4月2日以降生まれの65歳(※4)です。また、老齢基礎年金のように、繰り上げ繰り下げができます。

他にも家族構成によっては、加給年金(「その他の年金」を参照)と称する年金が加算されることがあります。

(※4)開始年齢が65歳:原則として65歳から支給される老齢厚生年金ですが、特例により65歳未満でも特別支給の老齢厚生年金を受けることができます。ただし、この場合の受給条件は、年齢が60歳~65歳未満、かつ厚生年金に12カ月以上加入などの条件を満たす人です。

障害年金

生まれつき一定の障害を持って生まれた人や、その後のケガなどで仕事や私生活が制限される状態になってしまった人には、障害年金が支給されます。障害年金の種類は、障害基礎年金と障害厚生年金の2つになります。

障害基礎年金

病気やケガで初めて病院で診察した日に、国民年金に入っていれば請求できます。

具体的には、国民年金に加入中だけではなく20歳より前などで、受診したケガや病気で障害が残ってしまったときに受給できます。また、20歳以降に病気やケガで一定の障害が残ってしまった人は、受給条件となる年金保険料の納付率(※5)を満たしていれば問題ありません。

(※5)年金保険料の納付率:年金保険料は、加入期間の3分の2以上納めている必要があります。65歳未満の人については、平成38年3月31日までの追加条件として、初診日の前々月までの直前1年間の年金保険料が未納でなければ問題ありません。

障害厚生年金

厚生年金に加入している間に初診日のあるケガなどで、一定の障害状態に該当したときに受給可能です。障害厚生年金は、20歳前に就職し厚生年金の被保険者で、受給条件となる年金保険料の納付率を満たしていれば20歳前でも受給ができます。また、このときに限り同時に障害基礎年金も受給できる可能性もあります。

遺族年金

国民年金や厚生年金に入っていた人が亡くなったケースで、遺された家族が受給できる年金です。遺族年金は、遺族の生活を支援するための年金ですが、受給者本人が納めた年金保険料によるものではないので、受給するためにはいくつかの条件があります。

遺族基礎年金

18歳未満の子ども、もしくは20歳未満の障害を持つ子どもがいる家庭で、両親のいずれかが亡くなってしまったときに、遺された配偶者または子どもが受給できる年金です。

亡くなられた人によって生活が維持できていた配偶者や子どもが受給の対象であるため、子どもがいない家庭や子どもが成人している家庭で、両親のいずれかが亡くなった場合は受給要件を満たす人がいないので受給はできません。

遺族厚生年金

老齢厚生年金の被保険者、もしくは老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合、一定の条件を満たせば遺された遺族(※6)が遺族厚生年金を受給できます。

老齢厚生年金の被保険者が亡くなった場合や、被保険者期間中のケガや病気がもとで、初診日から5年以内に死亡した場合、または障害等級1級もしくは2級の人が死亡した場合で、20歳から亡くなるまでの期間のうち、3分の2以上国民年金保険料を納めていること(短期要件)が受給条件となります。

また、老齢厚生年金を受けとる権利のある人が死亡した場合は、25年間(300カ月間)以上国民年金保険料を納めている必要があります(長期要件)。

(※6)遺された遺族:遺族に配偶者、子ども、父母、孫、祖父母のいずれかがいれば、その人が受給します。受給できる人の優先順位は配偶者が最も高く、子ども、父母、孫、祖父母の順です。配偶者ではなく子どもが複数いる場合は、全員均等に遺族年金を受給します。

その他の年金

加給年金

加給年金は原則として、65歳の老齢厚生年金受給者に一定の配偶者、あるいは子どもがいる場合に、本来の年金に加えて支給されるものです。具体的には、配偶者の年齢が65歳未満、または18歳到達年度の末日までの子どもなどがいる家庭になります。

その対象者ごとに加算される金額ですが、配偶者は22万4,300円、子ども2人までの場合ではそれぞれに22万4,300円、3人目から7万4,800円です。

なお、老齢厚生年金につく配偶者の加算には、さらに本人の生年月日に基づいた特別加算がつきます。昭和18年4月2日以降生まれの場合、16万5,500円です。

寡婦年金

寡婦年金は、夫が亡くなったときに妻に対して払われる年金です。

これは、死亡した夫が国民年金に入っている第1号被保険者で、保険料を10年以上納めていたこと、夫との婚姻関係を10年以上結んだ65歳未満の妻であることなどが受給要件になります。また、年金額は夫が第1号被保険者だった期間から計算した、老齢基礎年金額の4分の3です。

年金保険料の支払額はどうやって決まるの?

年金保険料の支払額はどうやって決まるの?

厚生労働省は、平成16年度に標準的な年金受給世帯の給付水準が、現役世代の平均収入の50%を上回るよう、将来の年金を安定的に支給するための改定を行いました。平成16年度の国民年金保険料額と、以後の国民年金保険料額を決めたのです。

これにより、国民年金の保険料額は平成16年度の額を基準にして、物価変動率と賃金の変動率から求まる保険料改定率により決められています。厚生年金の保険料は、加入者の4月~6月の平均給与額によって決定される、標準報酬月額をもとに決められており、加入者と企業が折半で納めています。

年金受給額はどうやって決まるの?

年金受給額はどうやって決まるの?

年金受給額は、どうやって決まるのでしょうか。公的年金保険制度の加入者にとって最も関心の高い、受給額について見ていきましょう。

国民年金

老齢基礎年金

20歳~60歳直前までの40年間(480カ月間)のうち、何カ月国民年金保険料を納めたかで決まります。免除・猶予期間がある場合はその期間が考慮され、その分減額されます。平成30年度の国民年金の満額は、年間77万9,300円です。満額にならない人は、40年間のうちに収めた期間に比例して受給額が決まります(10年だけ納めた人は、満額の4分の1の額)。

障害基礎年金

障害等級が2級の場合は、老齢基礎年金の満額と同じ金額になります。障害等級が1級の場合では、2級の金額の1.25倍(97万4,125円)です。

また、受給権者が65歳になった時点で、18歳未満の子ども、または20歳未満の障害のある子どもがいる場合、子どもの数に応じた金額がプラスされます。なお、障害が2級以上と認定されないと障害基礎年金は受けとれません。障害年金は基本的に、初めて診察を受けた日から、1年6カ月後の状態を診て認定されます。

遺族基礎年金

老齢基礎年金の満額と同じ金額です。配偶者が受給する遺族基礎年金では、18歳未満の子ども、20歳未満の障害のある子どもがいる場合、その子どもの人数に応じた金額がプラスされます。

厚生年金

老齢厚生年金

厚生年金の被保険者になっている期間に納付した厚生年金の保険料の金額によって、受給できる老齢厚生年金の額が決まります(報酬比例部分)。受給権者が65歳になった時点で年下の配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば配偶者の加算と特別加算がつき、さらに18歳未満の子ども、または20歳未満の障害のある子どもがいる場合、子どもの人数に応じた金額がプラスされます。

障害厚生年金

障害等級が3級の場合、老齢厚生年金の報酬比例部分と同額です。障害等級が2級の場合、3級と同じく老齢厚生年金の報酬比例部分と同額ですが、配偶者がいれば金額がプラスされます。また、障害等級が1級の場合、報酬比例部分の1.25倍の金額で、配偶者がいる場合には金額が増えます。

遺族厚生年金

短期要件の場合、厚生年金を300カ月納めたと仮定した額の4分の3です。また、長期要件の場合、厚生年金を実際に収めた期間で計算した額の4分の3です。

予測が難しい将来の備えには公的年金保険制度が大切

今回は、公的年金保険の新法と言われている部分について老齢、障害、遺族にわけてその内容についてご紹介しました。

「将来自分が老齢年金を受給するころは、年金制度がどうなっているか不安なので保険料を払いたくない」という声もありますが、病気やケガなどで障害を抱えてしまったときは、年齢が20歳以上であれば障害年金の受給が可能です。

公的年金保険制度は、自分が高齢になったときにしか受給できない制度ではなく、身近に起こり得るリスクに対応した制度であると言えるでしょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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