請求前に知っておこう!過払い金請求のデメリットについて

請求前に知っておこう!過払い金請求のデメリットについて

過払い金請求

過払い金請求による意外なデメリットついて

カードローンやキャッシングなどを利用し、消費者金融やクレジットカード会社などに利息を多く払い過ぎていた場合に発生する「過払い金」。グレーゾーン金利が廃止される以前に金融機関からお金を借りていた方で、完済から10年経過していない場合は、払い過ぎた利息分を取り戻す「過払い金請求」ができる可能性があります。しかしながら、過払い金請求にはメリットだけでなくデメリットも意外と多く存在します。

そこで今回は、請求前に把握しておきたい過払い金請求のデメリットについてご紹介します。過払い金請求を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。

過払い金請求とは?

過払い金請求とは

「過払い金請求」とは、カードローンやキャッシングなどの借り入れで発生した、貸金業者に「支払い過ぎていた利息」の返還請求をすることです。

2010年6月まで金利は「利息制限法」「出資法」の2つの法律に沿って上限が定められていました。

利息制限法では、元本が10万円未満の場合は年利20%、10万円以上100万円未満の場合は年利18%、100万円以上の場合は年利15%と上限が定められていたのに対し、出資法での上限金利は29.2%と定められており、両者に差が生じていました。

その両者の中間の金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、2010年以前はグレーゾーン金利による貸し付けが一般的でしたが、2006年に最高裁判所がグレーゾーン金利を認めない判決を出し、2010年6月に完全廃止されました。

それが施行されて以降、利息制限法で定められた以上の金利に対して支払った利息の返還、すなわち過払い金請求が認められるようになったのです。

なお、過払い金が発生するのは、借り入れした金融機関によって異なります。

たとえ借り入れしたのが2010年6月にグレーゾーン金利廃止が完全に施行される前であっても、2006年最高裁判決後、すぐに上限金利を変更した金融機関からの借り入れに関しては、それ以降の借り入れに対する過払い金は発生しないため注意が必要です。

過払い金請求ってどうやるの?

過払い金請求ってどうやるの?

過払い金請求手続きは自分で行うことも可能ですが、債務整理に関する知識がある程度必要であるほか、請求書類の作成や貸金業者との和解交渉などを踏まえると、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

では、過払い金請求の流れを見ていきましょう。

【1】取引履歴を取得する

貸金業者に対して、過去の返済金額や利息、金利などが記載された取引履歴を開示請求します。

【2】取引履歴を踏まえて「引き直し計算」を行う

取引履歴を取得後、グレーゾーン金利に該当する部分の利息がどの程度であったかを計算します。これを「引き直し計算」といい、過払い金請求額を算出するための重要な計算となります。

【3】貸金業者へ過払い金請求を行う

過払い金請求額を算出したら「過払い金返還請求書」を貸金業者に送付し、過払い金請求を行います。

【4】和解交渉を行う

貸金業者と和解交渉を進めます。基本的には電話や書面での直接交渉となり、請求者側の希望する過払い金額に賃金業者が応じれば交渉成立となります。

しかし、過払い金返還請求に貸金業者が異議を唱え直接交渉が成立しなかった場合は、過払い金返還訴訟を裁判所に提起することとなります。

【5】過払い金の返還

和解交渉または過払い金返還請求訴訟の手続きがすべて完了したら、過払い金の返還となります。過払い金が返還される期間は貸金業者にもよりますが、一般的には和解成立後、または判決後から平均2~4カ月後に入金されることが多いといわれています。

過払い金請求のデメリットとは?

過払い金請求を自分で行う場合はさらにデメリットが多くなる?

グレーゾーン金利時代に借り入れし、完済から10年経過していない場合で、かつ返済の滞納がない場合は、過払い金請求の対象となります。

しかし、必要以上に払い過ぎた利息が返還されるのはもちろんメリットではありますが、実はリスクやデメリットもあるのです。後悔しないためにも、過払い金請求を行うことでのデメリットについても事前に知っておくことが大切です。

ここでは、過払い金請求のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

過払い金請求後は借り入れできる貸金業者が限られてしまう可能性がある

過払い金請求を行うと、請求を行った貸金業者の情報として、過払い金請求があった事実が記録されます。それにより、過払い請求後はその貸金業者からの借り入れや新規申し込みが難しくなることもあるようです。すなわち、過払い金請求を行った貸金業者が多い場合は、請求後に借り入れできる貸金業者が限られてしまうということです。

過払い金請求を行った金融機関のクレジットカードなどが利用できなくなる

過払い金の返還請求を行った金融機関のクレジットカードやキャッシュカードは、請求後すぐに解約扱いとなり、すべて使用できなくなるため注意が必要です。

今後は利用する気がない、最近は利用していなかったというのであれば問題ありませんが、もしそのカードで月々の公共料金を支払っていたり、ETCが付随していたりする場合は、返還請求手続き前に対処しておく必要があります。

ただし、過払い金請求の対象ではない金融機関のカードは、問題なく使用することが可能です。

信用情報機関に事故情報として記録されるケースがある

一般的に、自己破産や民事再生、任意整理、特定調停などの債務整理を行った場合は、信用情報機関に事故情報として記録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」ということになるのですが、過払い金請求は債務整理とは性質が異なり信用情報にはあたらないため、返済が終わっている借金に対して過払い金請求をする場合に限り、信用情報機関にその履歴や情報などが記録されることはありません。

しかし、借金返済中に過払い金請求を行ってしまうと、債務整理(任意整理)扱いとなるため、ブラックリストに載ることとなります。ただし、返還された過払い金で返済中の借金を完済した場合は、ブラックリストに載らない、または1度載ってしまったとしても、完済後に記録を削除してもらうことが可能です。

家族に知られる可能性がある

弁護士や司法書士などの専門家を通さずに、自分で過払い金請求を行う場合、貸金業者や裁判所とのやり取りの書面などは、基本的に自宅に届くことになります。

それにより、過払い金請求について(過去の借金について)を家族に知られてしまう可能性があります。

また、たとえ弁護士などに依頼し、過払い金請求を行う場合であっても、郵送物に事務所名が記載されていることがあるため、家族に隠し通すのは難しいかもしれません。

もし、どうしても家族に伝えたくない場合は、過払い金請求手続きは自分で行わず専門家に依頼し、連絡先や郵送物への配慮について事前にお願いしておくようにしましょう。

過払い金には請求期限がある

過払い金請求には請求期限が設けられています。最終取引日(完済日)から10年で時効が成立するため、仮に過払い金が発生していたとしても、請求期限が過ぎてしまうと、請求手続きができなくなってしまいます。

しかし、時効が10年とはいえ、過払い金請求期限はあくまで「最後の支払日から10年」となります。そのため、2010年6月にグレーゾーン金利が廃止される前に借り入れし、それ以降も数年間返済が続いていた場合や、現在も返済中の場合であっても、完済日から10年間は過払い金請求をすることが可能です。

このように、一人一人請求できる期限が異なるため、ご自身の請求期限を事前に確認し、それまでに請求手続きを行うことが重要です。

過払い金が全額回収できないケースもある

借り入れした時点と請求時で貸金業者の社名が変わっていたり、吸収合併されていたりするケースがありますが、その場合であっても、取引履歴さえ残っていれば、請求手続きを行うことが可能です。

しかし、請求先である貸金業者が請求時に倒産してしまっている場合は、過払い金の回収が困難となり、全額回収は難しいかもしれません。

また、近年は過払い金請求者が増加しているため、貸金業者は過払い金の返還率を年々減らす傾向にあります。

そのため、過払い金が発生していることが分かった場合は、できるだけ早めに過払い金請求手続きを進めるようにしましょう。

過払い金請求を自分で行う場合はさらにデメリットが多くなる?

過払い金請求を自分で行う場合、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行うよりも、さらにリスクやデメリットが伴います。

法律に詳しくない素人が行う場合、手間や時間がかかるのは当然のことですが、貸金業者との和解交渉はもちろん、それ以前に大変なのが「引き直し計算」と「必要書類の準備」です。

引き直し計算では、実際に支払った利息を利息制限法の上限金利に沿って計算し、過払い金を算出します。請求する貸金業者が1社の場合は自力でも時間をかければ何とかなる可能性はありますが、取引業者数が多い場合は作業量が膨大になってしまう他、取引内容が複雑な場合はさらに難しい作業となってしまいます。

また、過払い金請求を行うために必要な書類の種類は多く、記入する内容も複雑なため、準備から完成までかなりの時間がかかってしまいます。

さらに訴訟になってしまうと、裁判所に提出する書類なども必要となるため、法的な知識を持っていない個人で進めるのは、かなり厳しいといえるでしょう。

過払い金請求のメリットとは?

払い過ぎた利息が戻ってくる

ここまで過払い金請求のデメリットについてご紹介しましたが、こうしたデメリットは過払い金請求手続きの概要をしっかりと把握し、適切な順序を踏みながら進めることで回避することができます。

では、過払い金請求によって得られるメリットには、どのようなことが挙げられるのでしょうか。

払い過ぎた利息が戻ってくる

過払い金請求で得られる最大のメリットは、やはり「払い過ぎた利息を取り戻せる」ということです。

借入期間や金利などの返済状況によって変わってきますが、多額の過払い金が返還されることがあるため、借り入れがある場合は、残債を大幅に減らしたり、一括返済したりできる可能性があります。

また、過払い金に年5%の利息がついて戻ってくるケースもあるため、返還金額が多額であるほど、このメリットは大きいものとなるでしょう。

返還金に利息がつく理由とは?

ではなぜ、返還金に5%の利息がつけられるのでしょうか。それは、民法703条「不当利益返還請求権」が法的根拠となっているからです。

グレーゾーン金利は、最高裁判決により、「正当な理由のない利益(不当利益)」とみなされ、さらに民法704条では、「不当利益を受けた受益者は、その受けた利益に対し利息を付して返還しなければならない」という意味合いの条文が定められています。

過払い金もこの不当利益に当てはまるため、法的に返還してもらうことが認められているのです。

また、民法404条「民事法定利率」では、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は年5分とする」と定められています。

それをベースに、2007年2月に行われた最高裁判決により、「過払い金の利息は年5%」と制定され、それ以降の過払い金の利息に関しては年5%で請求できるようになりました。

すべてのケースにおいて返還金に利息がつくわけではない

5%の利息は必ず返還されるわけではありません。通常は裁判に持ち込まれた場合、5%の利息を含めた返還金を得られることが多いのが現状のようです。

裁判を通さず話し合いのみの和解交渉で成立した場合は、基本的には5%の利息はつかないといわれています。

「5%の利息がつくなら裁判で交渉するほうが良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、裁判になるとすべてが解決するまで、和解交渉よりも約2~3倍の時間がかかってしまいます。

そのため、スピード解決したい場合は、専門家に相談した上で、なるべく和解交渉で進めてもらうようにしましょう。

過払い金請求は概要を把握してデメリットを回避しよう

今回は、請求前に確認しておきたい、過払い金請求のデメリットについてご紹介しました。

過払い金請求を行うことで得られる最大のメリットは、払い過ぎた利息を取り戻せるということです。しかし、今回の記事でご紹介したとおり、過払い金請求によるデメリットは意外と多いものです。

過払い金請求手続きの概要をしっかりと把握・理解し、慎重に進めることで、できる限り過払い金請求によるデメリットを回避できるようにしましょう。

もし、過払い金が発生している可能性がある場合は、請求期限を意識しながら、なるべく早めに行動に移すことが重要です。

また、過払い金請求手続きは、自分で行うことも可能ですが、できるだけスムーズに、短期間で滞りなく進めるためには、弁護士や司法書士などの専門家に相談・依頼することをおすすめします。

伊藤 亮太
伊藤 亮太

CFP(R)認定者
スキラージャパン株式会社取締役、伊藤亮太FP事務所代表

慶応義塾大学大学院商学研究科 経営学・会計学専攻修了。学生時代にCFP®資格、DCアドバイザー資格取得。2007年11月スキラージャパン株式会社設立に参画。取締役に就任。またその後個人事務所として伊藤亮太FP事務所を立ち上げる。独立系FPとして、金融資産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング・相続事業承継、保険見直し、金融機関等における講演など幅広く活動を展開、執筆業務も多岐にわたる。

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