離婚後に養育費を払わないとどうなる?払えない場合の対処法
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離婚後に養育費を払わないとどうなる?払えない場合の対処法

ソファで赤ん坊を抱く妻と背を向ける夫 size-full wp-image-11411 media_img

離婚して養育費を払えない場合はどうする?払わないとどうなる?

離婚する際、未成年の子どもがいれば必ず親権を決めなければならないという法律があります(民法第819条)。それに伴い夫婦間で親権について話し合うことになるのですが、うまく話がまとまらない場合、調停や裁判等で決めることになります。
司法統計(家事 平成28年度 第23表)によると、調停離婚等の場合、父親が親権者になった件数が1,943件なのに対し、母親が親権者になった件数は19,317件で約10倍という結果が出ています。
通常、親権者は子どもと同居し、別居している親が養育費を支払います。つまり、父親側が養育費を支払わなければならないケースが圧倒的に多いということです。今回は、養育費に関する素朴な疑問や、養育費を払わなかったらどうなるのか、さらに、払えない場合の対処法についてもご紹介します。

養育費とは

養育費とは、子どもが経済的および社会的に自立するまでに必要なお金のことです。具体的には、衣食住に必要なお金や教育費、医療費、娯楽費などです。子どもと同居しているか否かに関わらず、親は自分の経済能力に応じた生活を子どもにさせなければなりません。

養育費の相場

子どもを公立の学校に通わせるのか私立の学校に通わせるのかといった教育資金など、子どもの成長に欠かせないお金について、離婚時に両親がきちんと話し合い、双方が納得できる金額を導き出せることが最も望ましいことです。必ずしも、相場や平均に合わせる必要はありません。

しかし、話し合いが難しい場合には、東京・大阪の裁判官の共同研究によって2003年に作成された「養育費・婚姻費用算定表」や、日弁連によって2012年に作成された「養育費・婚姻費用の新算定表」を用いることが一般的で、家庭裁判所においても活用されています。
これらの算定表は、「養育・婚姻別」「子どもの人数別」「子どもの年齢別」などの様々な項目別に、目安となる養育費の相場が記載されています。

また、厚生労働省による「平成28年度全国ひとり親世帯調査結果報告」では、母子世帯の養育費の月額平均は43,707円という結果が出ています。
子どもの人数別では、次のように発表されています。

  • 子ども1人・・・38,207円
  • 子ども2人・・・48,090円
  • 子ども3人・・・57,739円
  • 子ども4人・・・68,000円

養育費は子どもが何歳になるまで支払い義務があるのか

養育費は、子どもが経済的および社会的に自立するまで支払う必要があります。この「経済的および社会的に自立するまで」の期間の子どもを「未成熟子」といいます。

未成熟子は、未成年とは異なります。たとえ成人している子どもであっても、病気やケガ、障がいなどの様々な事情で親の扶養が必要不可欠な状態であれば、未成熟子の対象です。このようなケースでは、養育費を支払うべきだと考えられますが、もちろんその逆もあります。

例えば、すでに仕事に就いて経済的に十分自立している未成年の子どもの場合、未成熟子の対象外として養育費を支払わなくていい可能性もあるのです。

子どもが幼い場合は、中学卒業後すぐに働き始めるのか、それとも高校に進学するのかなど、先々のことまではなかなかな決められないことが多いものです。そのような場合には、養育費を支払う期間について、具体的に話し合うことをおすすめします。
なお、家庭裁判所においては、成人までとするのが一般的です。

養育費を払わないとどうなるのか

養育費を払わないことへの世間の目は厳しいものがあり、社会問題として取り上げられることも多くなってきています。また、2016年9月に法務省が民事執行法の見直しを法制審議会に諮問しているなど、制度の改正も検討されています。

ここでは、養育費を払わないとどうなるのかを説明いたします。

法律で定められた罰則はない

大量の請求書に目を通す男性のイメージ

実は、養育費を払わなかったからといって、法律的に何かしら罰せられるということはありません

しかし、前述の法制審議会では「2018年度以降の法改正を目指す」としており、2016年11月頃から月に1度ぐらいのペースで現在も議論が進められていることから、今後はより一層、養育費の不払いに対し厳しい目が向けられるでしょう。

2017年9月の中間試案では、たくさんの見直すべきポイントが挙げられていますが、その中でも特に養育費の支払いに関係のある話として次の2つが発表されています。

  • 債権者が裁判所へ申し立てれば、金融機関から債務者の預貯金債権についての情報(預貯金債権の有無、取扱店舗、預貯金債権の種類および金額等)を取得できる制度を設ける
  • 債権者が裁判所へ申し立てれば、公的機関から債務者の給与債権に関する情報(勤務先の名称や住所地)を取得できる制度を設ける

今回の例では、債権者=母親、債務者=父親になります。

つまり現行制度では、母親が父親に対し差し押さえ等の強制執行をしたいと思った場合、母親は自力で父親の銀行口座の支店名まで特定しなければいけません。しかし、今後は裁判所が情報開示を要請するようになり、父親は差し押さえ等をされやすくなるのです。

借金と同じように遅延損害金は発生する

期日に丸が付けられているカレンダーのイメージ

法律的な罰則はないものの、民法第419条により、期日までに養育費を支払わなければ、相手方への迷惑料として遅延損害金が発生します。遅延損害金も、養育費同様に夫婦間で話し合って双方が納得できる利率を決めればいいとされています。もし特に何も約束をしていなければ、民法第404条により、年5%の利率になります。

しかし、たとえ双方が納得していたとしても、あまりにも高い利率であれば無効になる可能性があります。筆者の主観では、年5%~10%程度が一般的であると感じます。

また、遅延損害金は、「不払いの養育費×延滞損害金の利率÷365日×延滞日数」という計算方法で求められます。

子どもと面会できなくなることが多い

子どもや妻と別居する夫

「養育費を支払うから子どもと面会したい」または「養育費を支払わないと子どもと面会させない」といった話になることも多いかと思いますが、本来であれば養育費と面会は別問題とされています。つまり「養育費は支払わないけど子どもと面会したい」というのは堂々と主張していいということです。

子どもが「パパと会いたくない」といったり、子どもへの暴力および虐待で離婚に発展したり、子どもを連れ去る等の恐れがある場合を除いては、養育費の支払いに関係なく、子どもと面会して父親からの愛情も感じ取ってもらうのが理想的といえます。

しかし、現実問題として養育費を払わなかったら面会させないという話に落ち着くケースが多いようです。

給与などを差し押さえされることもある

机の上に置かれた給料袋と電卓

協議離婚で何も取り決めをしていなかった場合に比べ、調停離婚の場合、または協議離婚であっても協議書を公正証書にて作成していた場合には、決められた養育費を支払わないと給与等を差し押さえられる可能性が高まります。

調停離婚や公正証書の作成をしている時点で、多くの妻は「離婚時に損しないための知識」を仕入れているはずです。
例えば、「普通に離婚協議書を書いただけでは、もし今後、養育費を払ってもらえなかった場合に裁判所での判決がないと強制的に取り立てられない」ということを彼女たちは知っています。だから「公正証書で作りましょう」と提案するのです。裏を返せば、「公正証書で作っておけば、もしあなたが養育費を支払わなかった場合、すぐに強制執行できる」ことを彼女たちは知っているといえます。

また、通常の差し押さえに関しては給料等の4分の1相当までしかできませんが、養育費の場合、2分の1相当まで差し押さえることが可能です。もし、養育費の不払いが原因で差し押さえ等の強制執行がされた場合、給料が半分になることを覚悟しなければなりません。

養育費を払えないときの対処法

養育費が子どものためのお金だときちんと理解していれば、なんとかして支払ってあげたいと思うかもしれませんが、実際に支払うだけの余裕がない場合はどのように対応すればいいのでしょうか。
ここでは、養育費を払えないときの対処法についてお伝えいたします。

元妻(元配偶者)へ支払いの延期や減額を相談する

妻に対して手を合わせて謝る夫

まずは、元妻に養育費の支払いの延期や減額を相談してみましょう。最初は自分の非を認めて謝ることが大切です。そのあとで、「会社を解雇された」など支払えなくなった理由を説明するといいでしょう。決して、無い袖は振れないと開き直るようなことがあってはいけません。

もし、協議離婚で公正証書を作成していなかった場合には、今後の支払い方法等についてあなたから「公正証書を作ろう」と申し出るといいでしょう。どれだけ法的効力が強いのかを説明し、誠意を表し、信頼を得られるように努めましょう。

家庭裁判所で減額を求める調停を起こす

ノートPCを開いた状態で書類をチェックする人

もし元妻との話し合いがうまくまとまらなかったのであれば、家庭裁判所へ養育費減額調停の申し立てを行いましょう。調停の申し立てには、次の資料が必要です。

  • 養育費調停申立書
  • 連絡先等の届出書
  • 事情説明書(申し立ての動機などを記載する書類です)
  • 進行に関する照会回答書(事前に元配偶者と話し合ったか、元配偶者が裁判所の呼び出しに応じると思うか、などの質問に回答する書類です)
  • 子ども(未成年者)の戸籍謄本
  • 源泉徴収票、確定申告書等、収入関係の資料

また、養育費減額調停の申し立て費用として、子ども1人あたり1,200円分の収入印紙、郵便切手(裁判所により金額が異なる)が必要です。

提出されたこれらの資料をもとに、調停委員が養育費として適切と考えられる金額を判断します。減額を認めてもらうためには、離婚のタイミングでは予想できなかった変化が起こったことを証明しなければなりません。

一般的には、次のようなケースだと減額を認められやすいといえます。

  • 勤め先の経営不振等で収入が激減した場合
  • 失業してしまった場合
  • 再婚し新しい妻との間に子どもが生まれた場合
  • 元妻が十分な経済力を持った相手と再婚し、その再婚相手が子どもと養子縁組をした場合

カードローンなどで資金調達して支払う

1万円札とICチップ付きカードとキーボード

元妻へ相談しても、養育費減額調停を申し立てても減額等が認められなかった場合には、カードローンなどで資金調達をして支払いましょう。もし、給与の差し押さえ等の手続きが進めば、あなたの会社に連絡が入り、最悪の場合には退職を促されることもあります。

会社都合として退職すれば、待機期間7日+約1カ月後に失業給付金が支給されますが、退職を促され会社に居づらくなったなどの理由で自己都合として退職すれば、待機期間7日+約3カ月もの間、一銭も支給されません。

今まで築き上げた社内での人間関係や磨いてきたスキル、再就職までの手間などを考えると、カードローンを利用してでも差し押さえ等の強制執行がされないように手を打ったほうがいいのではないでしょうか。

養育費の支払いにカードローンがおすすめな理由

減額相談をして却下され、さらに調停でも太鼓判をもらった元妻は、あなたが1日でも養育費を滞納すると意気揚々と差し押さえ等の準備を始めることでしょう。給与等の差し押さえ手続きが始まると前述のようなデメリットがたくさん待ち受けています。
それを回避するためにもすぐに現金を調達しなければなりません。カードローンであれば、審査時間最短30分と謳っている店舗も多く、すぐに融資を受けられます。

ただし、銀行のカードローンは2018年1月以降即日融資ができなくなっています。融資には最短でも2営業日、一般的には1週間前後、長ければ2~3週間かかってしまいますので、緊急性が高い場合は審査時間の短い店舗で借り入れることをおすすめします。

また、初めてカードローンの利用を検討している人にとっては、社会的影響があるのかどうかが気になるポイントだと思いますが、「延滞等をしなければ、心配しているほどの影響はない」といえます。

カードローンを利用する際の注意点

融資までの時間が早いなどのメリットがある反面、カードローンにはデメリットも存在します。カードローンの返済方式はリボルビング式のため、借入期間が長引けば長引くほど、総支払額が高くついてしまうのです。また、クレジットカードの作成や各種ローンの審査において、JICCやCIC等の信用情報機関に照会を行われ、カードローンの利用が発覚し、審査結果に影響を及ぼす可能性があります。

このようなデメリットを回避するためには、事前に返済計画を立てておくことが重要になります。

例えば、再婚し新しい妻との間に子どもが生まれたために元妻への養育費が支払えずカードローンを利用するのであれば、新しい妻へはきちんと事情を説明し、出産後しばらくすればパート等で働いてほしい旨を伝えておくなどの対策が必要です。

また、カードローン利用後にクレジットカードの作成や各種ローンの利用を検討しているのであれば、事前にキャッシュフロー表などを作成し、長い目で将来のお金の出入りを確認しておくといいでしょう。キャッシュフロー表が自身で作成できない場合には、ファイナンシャルプランナーに依頼することをおすすめします。

養育費を払えない場合はまず話し合いや調停で解決を図ろう

今回は、養育費に関する素朴な疑問や、養育費を払わなかったらどうなるのか、さらに、払えない場合の対処法についてもご紹介しました。
養育費は子どものためのお金なので、たとえ別居していたとしても、生活に余力がなくても、最低限あなたと同じレベルの生活を保障するという義務(生活保持義務)があり、自己破産をしても養育費の負担義務からは逃れることはできません。

しかし、実際に毎月数万円を養育費として支払うのが難しい場合もあるでしょう。単に「支払いたくない」とか「もっと贅沢な暮らしがしたい」というのは論外ですが、それ相当の事情があるのであれば、話し合いや調停などを行って解決しましょう。

鍛治田 祐子
鍛治田 祐子

CFP(R)認定者/1級FP技能士
NPO法人 全国NIE.E指導委員会 講師指導委員
FPおふぃすプラスめいきっと代表

奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るも、知人の連帯保証人になっていた祖父の自殺をきっかけに家族はバラバラ、高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。