債務整理後の借り入れは可能?クレジットカードは作れる?

債務整理後の借り入れは可能?クレジットカードは作れる?

債務整理後の借り入れ

債務整理後の借り入れの可否とクレジットカードについて

借金(債務)の返済が難しい際には、債務整理(※1)という方法で借金を減らしたり、借金を免除したりする法的手段を活用しましょう。ただし債務整理を行うと、個人の信用情報(※2)に債務整理の記録が登録されるので、その後の借金やクレジットカードなどの作成に何らかの影響を与えると考えられます。

そこで今回は、債務整理を行っても、その後新たに借金ができるか、あるいはクレジットカードを作ることができるかについてご紹介します。

(※1)債務整理:債務整理には、任意整理、特定調停、自己破産、個人再生があります。それぞれの意味は、「ブラックリストとは」で解説します。
(※2)個人の信用情報:借金の申し込みを金融機関にする際、過去の借金やその返済経過、結果、毎月の収入、勤務している会社名などの個人情報が、信用情報機関のデータベースに登録、管理されます。この情報は、新たな借り入れをする際など個人の信用審査に利用されます。

債務整理後の借り入れは可能か?

債務整理

借金の申し込みを受けた金融機関は、貸出額が何らかの理由で滞納もしくは、返済不可となるリスクを常に抱えながら営業をしているため、貸し付けを行う際には申込者の信用情報(返済能力)による事前審査を重要視しています。そのため、申込者が以前の借金について債務整理を行ったという履歴がある場合、多くの金融機関では一定期間審査を通しません。

では、それでも借金をしなければならないような場合に審査を通してくれる金融機関はないのでしょうか。

以下では、債務整理後にどのようなことが起こっているのか、その経過と注意点、借りる工夫についてご紹介します。

ブラックリストとは

クレジットヒストリー

任意整理などの債務整理が行われると、債務整理の対象になった金融機関などから共有情報として信用情報機関の個人信用情報データベースにその記録が登録されます。

このように債務整理の実行が登録された状態「ブラックリスト状態」もしくは「ブラックリストに載っている」と表現しています。

では、以下で債務整理の4つの手段について確認しましょう。

任意整理

債務整理の一手段で、裁判所を介さずに債務者、もしくは弁護士や司法書士といった債務者の代理人と債権者間で話し合い、返済義務の軽減を交渉することを任意整理と言います。

ただし、和解による解決を図る手続きのため、債務者の希望が必ず通るわけではありません。

また、任意整理では、残金の減額、残金以上の返済が既にされている場合には、過払い金の返還請求ができる場合もあります。

過払い金とは、法律の成立経過に伴う金利の変更(金利上限の低下)にかかわる返済額を再計算し、新法に基づく本来の返済額を求めた際に旧法のもとで生じた、返済しすぎの利子のことです。

任意整理で個人信用情報に登録されるのは、消費者金融が主に利用している日本信用情報機構のデータベースです。ここに登録された任意整理情報の登録期間は5年間とされています。

また、クレジットカード会社が主に利用しているCICや銀行が主に利用している全国銀行個人信用情報センターのデータベースには、任意整理の記録は登録されません。

特定調停

裁判所を介さずに、債務者もしくは債務者の代理人(弁護士や司法書士など)が債権者と和解のための交渉を行う任意整理に対し、特定調停では、債務者自身または債務者の代理人が簡易裁判所に調停を申し立て、簡易裁判所の調停委員が調停を行います。

特定調停で個人信用情報に登録されるのは、任意整理同様、日本信用情報機構のデータベースで5年間です。

CICや全国銀行個人信用情報センターのデータベースには、特定調停の記録は登録されません。

自己破産

債権者か債務者が裁判所に当事者の破産手続きを申し立てる「破産」に対して、当事者自身(債務者)が裁判所に自身の破産手続きを申し立てることを自己破産と言います。

自己破産を行う場合、契約中の生命保険、所有している不動産、預貯金など財産のすべてを換金して債権者に分配しなければなりません。すべての財産を整理してもなお残る債務が免責されます。

自己破産の登録期間は、日本信用情報機構およびCICのデータベースでは5年間、全国銀行個人信用情報センターのデータベースでは10年間です。

個人再生

裁判所に申し立てをし、債務を大幅に免責する債務整理の一手段です。免責されない分については長期分割払いで完済を目指します。長期分割払いでは、債務者が作成した分割期間5年間以内の「再生計画案」を裁判所に認定してもらわなければなりません。

個人再生が個人信用情報に登録されるのは、日本信用情報機構と全国銀行個人信用情報センターのデータベースです。CICのデータベースには、個人再生の記録は登録されません。

登録期間は、日本信用情報機構のデータベースでは5年間、全国銀行個人信用情報センターのデータベースでは10年間です。

借り入れできない期間

借り入れできない期間

債務整理を利用した債務者の場合、借り入れできない期間はブラックリスト状態の期間に連動します。

しかし、債権者によっては、債務者が返済義務を果たしてからブラックリストに登録することがあるため、返済完了までの期間と上記登録期間の合計の時間が借り入れできない期間だと考えましょう。

例えば、個人再生で債務の残金を3年間で完済した場合、日本信用情報機構のデータベースにはその時点から5年間ブラックリストに載ることになるので、合計8年間は新たな借り入れができないことになります。

「ブラックOK」のヤミ金業者に注意!

ヤミ金業者に注意

ブラックリスト入りしている期間は、少なくとも新たな借り入れができない期間とされていますが、この間に新たな借り入れをすることは不可能ではありません。「ブラックOK」というキャッチフレーズで審査を通す金融機関も中にはあります。

大手の金融機関では、「ブラックOK」で貸し出すことはあり得ませんが、「街金」と呼ばれる中小金融機関では、顧客を獲得する手段として、大手の金融機関が避けて通る、ブラックリストに記載されている個人、あるいは個人事業主を狙い撃ちするところもあります。

これらの「街金」と呼ばれる金融業者は、貸金業の登録をきちんと行っている貸金業法の下で営業をしている正規の貸金業者です。しかし、利息制限法の上限金利での貸し出しや、返済が滞ったときの取り立ての厳しさなどを考えると、貸金業の登録をしていないヤミ金業者同様、注意して利用しなければなりません。

むしろ、せっかく債務整理でいったん解決方向に向かった状況が元に戻ってしまうことを考えると、ヤミ金業者はもちろん、「街金」も利用しないように心掛けるべきでしょう。

借り方の工夫でできる借り入れ

借り方の工夫でできる借り入れ

債務整理後に借り入れを行う際、個人信用情報に債務整理の記録が登録されている本人名義での借り入れは困難です。しかし、債務整理は当事者個人の記録のため、例えば家族カードで借り入れをすることはできます。

債務整理後にどうしても借金をしなければならない場合には、家族カードで借り入れを行うことは一手段と言えるでしょう。

債務整理後にクレジットカードは作れるのか?

債務整理後にクレジットカードは作れるのか?

債務整理後は、クレジットカードの作成もキャッシングと同様に「返済リスクが高い」と判断されるため、非常に難しくなります。

では、債務整理前から持っていたクレジットカードの扱いはどうなるのでしょうか。

以下では、債務整理前から持っていたクレジットカードの扱いと債務整理後のクレジットカードの新規申し込みなどについてご紹介します。

債務整理前に契約していたカード会社

債務整理をする前から契約していたクレジットカードや、債務整理をする前に新規契約をしたクレジットカードは、債務整理の方法によっては、債務整理後も利用できる可能性があります。

債務整理中は原則、クレジットカードも使用停止(※3)されます。

しかし、債務整理のうち任意整理では、任意整理をする対象業者を選択できるので、利用し続けたいクレジットカード会社は、任意整理の対象から外して任意整理を行えば利用し続けられます。

ただし、任意整理の対象から外したクレジットカード会社にも、他の業者で任意整理をした記録は登録されるので、クレジットカードの更新のタイミングで使用停止になる可能性は否定できません。

(※3)使用停止:使用停止とは、返済中の引き落としが凍結されることと、新たな借金ができなくなることの両方を意味します。

新規申し込みのカード会社

債務整理の当事者は信用審査を通らないため、債務整理中に新たにクレジットカードを申し込んでも作成することは困難です。

任意整理の場合、日本情報信用機構の個人信用情報には登録されますが、CICや全国銀行個人信用情報センターの個人信用情報には登録されません。しかし、オリコカードなどの信販会社は、CICだけでなく日本情報信用機構のデータベースも利用しているため、新規申し込みの信用審査は通らないのです。

同様に、全国銀行個人信用情報センターを利用している銀行系金融業者、例えば三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などでも、日本信用情報機構とCICのデータベースを利用しているため、新規申し込みの信用審査は通りません。

ただし、自分以外の名義の家族カードを追加発行することは可能です。

債務整理後でも審査に通りやすいカード会社はある?

一般的に、消費者金融系業者のカード会社では、審査に独自の判断基準を設けているため、審査スピードが早く、通りやすいと言われています。

しかし、ブラックリスト状態にある当事者が新規にカードを作ろうとしても審査には通りません。これは、審査に通りやすいと言われている消費者金融系業者でも同じです。ブラックリスト状態が解消される5年から10年間は、審査に通らない厳しい状態が続きます。

また、ブラックリスト状態が解消されても新規審査が通らない場合は、債務整理の対象にしたカード会社に発行を申し込んでいないか確認する必要があります。

債務整理の対象になったカード発行会社は、たとえ個人信用情報上のブラックリスト状態が解消されても、自社内の履歴記録は消さない(自社ブラック状態)ため審査を通すことはありません。

この場合は、別のカード会社に申請をし直す必要があります。

「申し込みブラック」に注意!

「申し込みブラック」とは、多重申し込みのこと です。

1カ月以内に3社も4社も借り入れの申し込みをしている場合、個人の信用審査の際にそのことが分かってしまうので、それだけで審査に通りにくくなります。

借り入れの申し込みをする場合は1社ずつ行いましょう。

ただし、審査基準が各金融機関で異なるので、2社同時申請を通さない金融機関もあれば、3社同時までなら審査基準に触れない金融機関(主に消費者金融)もあります。

しかし、いずれにしても同時に複数社に借り入れを申し込むのは避けたほうが良いでしょう。

ちなみに、信用情報機関に照会することで、自分の信用情報が今どうなっているのかを確認できます。

債務整理後に借り入れをするときの注意点

債務整理のうち、任意整理は対象の会社を選定できるため、任意整理の対象から外した各種ローンやスマートフォンは利用し続けることが可能です。では、新規の借り入れをするときはどうでしょうか。

ここでは、債務整理後に自動車ローン、住宅ローンを新たに借り入れるときと、新たにスマートフォンの本体分割購入をするときの注意点を解説します。

自動車ローン、住宅ローン

自動車ローン、住宅ローン

債務整理中に自動車ローンや住宅ローンを新規に利用することは、他の借り入れ同様、非常に困難です。しかし、どうしてもこれらのローンを利用したい場合は、債務整理を終えたうえで金融機関の対応窓口まで出向いて現在の安定した収入源などを示し、しっかりとした生活の再建計画と返済能力があることを説明する努力が重要です。

これを行っても審査に通る確証はありませんが、自動車ローンや住宅ローンで多額の融資を希望するのですから、そのくらいの覚悟が必要です。

ブラックリスト状態が解消された後であれば、審査基準を通る安定した収入、しっかりとした勤務先、在籍確認が確実にできる電話番号の登録などの審査基準を満たせば、原則新規ローンの利用はできます。ただし、この場合も一度「自社ブラック状態」になった金融機関からの借り入れはできないでしょう。

審査に通ったら、二度と債務整理に頼ることがないよう、延滞や返済不可能な状況に陥らないよう、財産管理を徹底してください。

スマートフォンの本体分割購入

スマートフォン

スマートフォンについても、クレジットカードなどの使用が停止されているのであれば、債務整理中に新規にスマートフォンの本体分割購入をすることは困難です。

もちろん現金によるスマートフォン本体の一括購入は可能ですし、使用中のスマートフォンは持ち続けることができます。

なお、債務整理のうちの任意整理をした場合でも、それまでの通信料金に未払いの履歴(※4)が残っていなければ任意整理対象外の携帯会社と通信契約をすることはできます。

利用中だったスマートフォンを任意整理の対象にしても、スマートフォン本体のローンによる新規購入と新たな通信契約とは扱いが異なることを知っておきましょう。

(※4)通信料金に未払いの記録:ドコモ、au、ソフトバンクなどは、通信料の未払い情報を共有できるシステムを持っているので、他社の未払い履歴を参照できます。

債務整理後にクレジットカードを作るときの注意点

クレジットカードも、他と同様に債務整理中の新規作成はできません。

ブラックリスト状態が解消された後にクレジットカードを作るときには、まず「申し込みブラック」にならないよう、同時期に複数のクレジットカードを申請しないようにしましょう。「申し込みブラック」状態になってしまったら、信用情報機関のデータベースからその情報が消えるまで、さらに6カ月間は、新規申請をしても信用審査に通ることはないと考えてください。

以下では、この他の利用限度額やキャッシング枠などについて、二度と債務整理をしないようにするための注意点をまとめます。

利用限度額

債務整理に陥った最大の原因は、自分の返済能力以上の借金を重ねたことにあります。

ブラックリスト状態が解消された後でクレジットカードを作るときは、カードの発行元が決める利用限度額以下の自己規制による限度額を決めておきましょう。

また、最初のカードローン返済期間中の、さらなるカードローンの利用はしないなどのルールを作り、厳守するよう心掛けてください。

キャッシング枠

クレジットカードのキャッシング枠は、あれば使いたくなってしまう可能性が高いため、設定しないようにしましょう。ちなみに、新規申請時にキャッシング枠を設定しないクレジットカードのほうが、金融機関によっては審査に通りやすくなります。

キャッシング枠を設定しなければ申請ができない場合、最低限度のキャッシング枠としておき、クレジットカードでキャッシングはしないなどのルールを作り、厳守しましょう。

リボ払い

クレジットカードの申請をする際、クレジットカードの発行元によっては、リボ払いの申し込みが自動設定されることがあります。その場合には、発行元に問い合わせるなどをして必ずリボ払い設定を解除しましょう。

カード利用で債務整理などに陥る大きな原因は、リボ払いによる返済期間の長期化にあります。

返済は、1回払い、2回払い、ボーナス一括払い、分割払いのいずれかを利用しましょう。

ブラックリスト状態が解消されていれば債務整理後も借り入れ・クレジットカードの作成は可能

今回は、債務整理による返済の免除、あるいは返済額の減額という状況での借り入れおよびクレジットカードの作成などを想定し、その可能性と注意する点について紹介しました。

債務整理を開始してからそのことが信用情報機関のデータベースに登録されている、いわゆるブラックリスト状態での新規借り入れと新規クレジットカードの作成、債務整理による返済額の返済が完了していても、ブラックリスト状態にあるタイミングでの新規借り入れと新規クレジットカードの作成は、ほぼ不可能です。

しかし、ブラックリスト状態から解消されてからの新規借り入れと新規クレジットカードの作成は原則可能であること、金融機関の個人審査などの扱いがこれらのタイミングで異なることは覚えておきましょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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