債務整理は弁護士と司法書士どちらに頼むべき?費用やトラブル例について

債務整理は弁護士と司法書士どちらに頼むべき?費用やトラブル例について

債務整理

債務整理における弁護士と司法書士の費用とトラブル例とは

借金の返済は、計画的に将来の見通しを立てながら、より有利な返済方法があるならその方法を選択するなどして行います。しかし、何かしらの理由で返済が滞り、将来的にも改善の余地がなくなって返済ができなくなってしまう方もいるでしょう。もしその状況に陥ってしまった場合には、債務整理(※1)を活用してはいかがでしょうか。債務整理は、債務者のみで行う場合と、弁護士や司法書士に依頼して行う場合があります。

今回は、債務整理により借金の減額や免責手続きを行う際に、債務者本人の代理人資格を持つ弁護士と司法書士のどちらに問題解決を依頼すべきか、債務整理の手段や費用などの特徴、トラブル例をご紹介します。

(※1)債務整理:個人の債務(借金)を整理(減額や免責)する手段の総称で、具体的には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産があります。

債務整理における弁護士と司法書士の違いとは?

弁護士とは、司法試験に合格した後に司法研修所で司法修習を受け、修習終了時に行われる試験に合格し、弁護士名簿に登録した者のことです。日本国内の債務整理に関するすべての法廷活動などに関与できます。

対して、認定司法書士(以下では、司法書士と称します)は、司法書士試験に合格し、司法書士会に登録したのちに簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格することで、登記、供託業務の本業務に加えて、一部の債務整理に対する債務者の代理人として法廷活動ができる者のこと言います。

以下で、弁護士と司法書士の業務範囲の違いについて確認しましょう。

弁護士の場合

弁護士

弁護士は、債務整理のうちの個人再生(※2)自己破産(※3)といった、地方裁判所が扱う債務整理で債務者の代理人となり、書類の作成、再生委員との面談、あるいは裁判官からの聞き取り時に意見を述べ、依頼人を擁護できます。

特定調停(※4)でも、申立書面の作成や調停委員との面談時に意見を述べ、依頼人を擁護が可能です。

また、裁判所を介さない任意整理(※5)でも、申立書面の作成、債権者との和解交渉ができます。

弁護士の場合、簡易裁判所から最高裁判所までのすべての法定代理権(※6)を持つので、どのような債務整理にも対応が可能です。

(※2)個人再生:地方裁判所に申し立てをし、債務を大幅に免責するための債務整理です。債務者が返済可能な額について返済計画(再生計画案)を立て、その額について長期分割払いで完済を目指します。長期分割払いは、分割期間5年間以内(原則3年)で、住宅ローンなどを除く債務総額が5,000万円以下の個人債務者が対象です。

(※3)自己破産:債務者が地方裁判所に自身の破産手続きを申し立てることを言います。自己破産が認められると、必要最小限の生活費(自由財産)と家財を残して、契約中の生命保険、所有している不動産、預貯金など、財産のすべてを換金し債権者に分配しなければなりません。これら財産を整理してもなお残る債務が免責されます。ただし、保証人がいる債務に対しては、残っている債務を債権者が保証人に請求することができます。

(※4)特定調停:債務者自身または債務者の代理人が裁判所に調停を申し立て、裁判所の調停委員が裁判官とともに、紛争の解決にあたる債務整理の一手段です。裁判所を介した任意整理とも言えます。

(※5)任意整理:現行法のもと、返済義務の軽減について、裁判所を介さずに債権者と債務者間で和解することを任意整理と言います。また、法律の成立経過に伴う金利の変更(金利上限の低下)にかかわる返済額を再計算し、新法に基づく本来の返済額を求めることで、返済額の減額や過払い分の返金を要求できる場合もあります。

(※6)法定代理権:依頼人本人に成り代わって法律効果を発生させる根拠となる法律上の地位・資格を指します。つまり、依頼人本人が行うべき法廷での意見陳述などを、依頼人本人に代わって対応する権利のことです。

司法書士の場合

司法書士

司法書士は、任意整理の場合、申立書面の作成や債権者との和解交渉を行います。特定調停では、申立書面の作成や簡易裁判所での調停委員との面談時に意見を述べ、あるいは依頼人を擁護できます。

ただし、司法書士には簡易裁判所でしか法定代理権がないため、管轄裁判所が地方裁判所である個人再生や自己破産の場合には、法定代理権を行使することはできません。この場合、司法書士は書類の作成代理権のみを行使できます。

また、債務者の借金が1社あたり140万円以下の場合には、司法書士が書面を作成し依頼人の代理人として裁判官の質問に対し意見を述べ、あるいは依頼人を擁護できるのに対し、債務者の借金が1社あたり140万円を超える場合、司法書士は上記の法定代理権を行使することはできません。この場合に司法書士が行使できるのは、書類の作成代理権のみです。

弁護士・司法書士の業務範囲

弁護士と司法書士の業務範囲

弁護士、司法書士の債務整理に関する業務範囲について、ここまでの記述をまとめると以下のようになります。

弁護士の場合、特に規制されるものはありません。

司法書士の場合、簡易裁判所での1社あたり140万円以下の債務整理案件については法定代理権があり、弁護士同様の業務が行えます。

ただし、1社あたり140万円を超える債務整理案件、簡易裁判所以外の案件では、法定代理権がないので、書面の作成しかできません。

債務整理を弁護士または司法書士に依頼した場合の費用

債務整理を専門家に依頼する費用

これまで述べたように、弁護士と司法書士はその業務範囲が重なる部分と異なる部分があります。

それぞれに解決を依頼した場合の費用の比較は、弁護士と司法書士の両者が業務を行える任意整理と特定調停で確認しましょう。

司法書士には法定代理権がない個人再生や自己破産については、主に弁護士に依頼した場合の費用として解説します。

弁護士に依頼した場合の費用

弁護士それぞれに費用根拠があるので、金額を断定的には言えませんが、費用の構成は、着手金、成功報酬、実費からなることが多いと考えられます。なお、債務整理の方法によっては実費を取らないこともあるようです。

任意整理

任意整理では、着手金を1社あたり2万円から5万円、成功報酬は、依頼人の経済的利益(※7)の10%から20%が相場になっています。

任意整理の場合、債権者との直接の和解交渉になるので、収入印紙などの実費はありません。

(※7)依頼人の経済的利益:和解交渉で本来の返済額が減額された場合は「減額された金額」、過払い金が発生しているときは「本来の返済額との差額(過払い部分)」が経済的利益です。

特定調停

1社あたり140万円を超える特定調停を行う場合は、司法書士では書面の対応しかできないため、法定代理権のある弁護士に依頼することをおすすめします。

一般市民から選ばれた調停委員とやり取りをする特定調停は、債務者本人が簡易裁判所(1社あたり140万円以下)、または地方裁判所に申し出ることが前提とされている手続きです。

そのため、弁護士がホームページなどで費用を開示しない傾向にありますが、依頼を受けてくれないわけではありません。

弁護士に特定調停を依頼した際にかかる一般的な費用は、10万円から30万円です。ただし、これに加えて裁判所に提出する書面に必要な収入印紙代などの実費もかかります。

個人再生

個人再生では、多くの場合、現在の依頼人の住宅を個人再生の対象にするかしないかで着手金が異なります。

住宅を個人再生の対象にしない、すなわち住宅ローンの返済は今まで通りに行い、その他を個人再生するという依頼の場合は40万円から50万円ほど、住宅も個人再生の対象にするという依頼の場合は、30万円から40万円ほどが相場です。

なお、個人再生の場合、この他に申立費用や裁判所の再生委員報酬(15万円ほどを分割予納)が必要になります。

自己破産

自己破産は、債務整理の対象が1社の場合の基本報酬(25万円ほど)に対して、対象の数によって加算される費用計算をします。

そのため、基本報酬の総額を示すことは難しいのですが、一般的には、債務整理対象の数によって決まる基本報酬に、債務者の資産状況や債務状況を調査し債権者を確定するなどの対応をする破産管財費用が5万円から20万円ほど、収入印紙代などの実費と管財予納金として20万円ほどが必要です。

司法書士に依頼した場合の費用

司法書士に依頼するときの費用の構成は、基本的には弁護士と大きな違いはありません。

司法書士は、1社あたり140万円を超える債務整理の場合、法定代理権がないため書面作成費用のみが必要になります。ただし、場合によっては債権者との和解交渉や調停委員とのやり取り費用も必要になるため、単純に弁護士費用と比較ができないのです。

したがって、司法書士については任意整理と特定調停の費用を示すにとどめますが、任意整理では着手金、成功報酬ともに弁護士費用と同様の費用がかかり、特定調停においては、弁護士費用より若干安いという程度のため、費用の差はほとんどないと言って良いでしょう。なお、収入印紙代などの実費費用は、弁護士費用と同額です。

債務整理を弁護士に依頼した場合のトラブル

債務整理を弁護士に依頼した場合

業務範囲の広さから債務整理を弁護士に依頼することがあると思います。ただし、実際に弁護士に依頼したときにトラブルが発生する場合もあるのです。

以下でトラブルになった事例を確認しましょう。

事務員しか対応してくれない

債務整理案件は、「依頼件数を多くして収入を増やす」という会社経営上の運営方針が立てられることが多いため、一事務所、あるいは一法人あたりの弁護士の数が限られている以上、依頼人からの聞き取りや債務整理の説明をする人が事務員のみの場合があるのです。

また、担当者がたびたび変わるなど、依頼人を不安にさせるという事例も散見されます。

高額な成功報酬を要求された

債務整理は、対象の債権者数が多くなればなるだけ弁護士の対応が複雑になります。

債務整理の性格上、1件ごとに内容が異なることから、ホームページなどで詳しく費用について書いてある場合でも、見積もりを取った後に思わぬ費用が加算されることもあり、成功報酬が高額になることがあるのです。

ホームページなどで費用を開示していない弁護士事務所は、無料相談などの機会に確認するようにしましょう。

追加請求をされた

債務整理の対応期間が長引くと、期間に線引きをされ、それ以後の費用は別途で要求されることがあります。

それまで頼りにしてきた弁護士が急に対応の打ち切りを切り出し、以後別途費用などとビジネスライクに言われ、弁護士に対する不信感が生まれてしまったなどという事例もあるようです。

債務整理を司法書士に依頼した場合のトラブル

多くの場合、司法書士が対応できる債務整理の業務範囲を誤解し、弁護士よりかかる費用が低く抑えられるという誤解から生まれるトラブルが目立ちます。

1社あたり140万円を超える債務整理では法定代理権がないことなど、しっかりと司法書士の業務範囲を理解していなければ、法定代理を依頼するために司法書士に依頼した後、再度弁護士に依頼せざるを得ないことにもなりかねません。

その他の事例についても以下で確認しましょう。

債務整理が終わるまで時間がかかった

依頼先によっては、着手金などの費用を分割で支払うことが可能ですが、分割費用をすべて払い込んでからでないと、債権者との交渉なども始めないという場合もあります。それが原因で、債務整理が終わるのにかなりの時間がかかってしまうこともあるようです。

ただし任意整理の場合、受任通知(※8)は契約後すぐに送付してもらえるので、借金の返済や債権者からの請求は契約後にすぐに停止されます。したがって、時間がかかっている間返済を続ける必要はありません。

中には、このような理由ではなく、債務整理の方法を調べて方針を決定するのに時間がかかっているケースもあるようです。

(※8)受任通知:司法書士(または弁護士)が、債務整理の代理人になったことを債権者に知らせることです。これにより債権者は、以後直接の取り立てを中止し、債務者との取引履歴の開示準備を始めなければなりません。なおこの場合の債権者とは、貸金業者や債権回収会社のことであり、買掛先など一般の債権者に対しては効力を有しません。

着手金を支払ったのにすぐ動いてくれなかった

着手金の分割支払いができる場合は、上記のように案件に着手するタイミングが分割支払い完了後ということもあるので、どのタイミングで対応してもらえるのかをあらかじめ確認しておく必要があります。

また、着手後、債務整理の進捗をタイムリーに知らせてこない場合は、何らかの理由で対応を先延ばしにしていることも考えられるので、現在はどのような対応を行っているのか、依頼先に連絡を取ったほうが良いでしょう。

特に、着手金を支払ったのに取り立てが続くようであれば、受任通知を債権者に送っていない可能性も考えられるため、きちんと対応しているのかしっかりと確認することをおすすめします。

過払い額が減額された

利息制限法に基づく利息の再計算を行い、利息の過払いが明らかになった状態で同じ貸金業者から新たな借金がある場合、その借金は過払い金で減額、または相殺されますが、この過払い金の計算方法(※9)によっては、本来の過払い金より低い金額になることがあります。

一部の事務所では、過払い金の計算方法で過払い金が少なくなる方式を採用しているので、実際の過払い金との差額が発生することになり、「過払い額が減額された」というトラブルが発生することがあるのです。

また、中には和解の条件として過払い金を減額したなどと言われ、渋々承諾したなどのトラブルもあります。

(※9)過払い金の計算方法:過払い金の計算方法には、利息充当方式と棚上げ方式があります。利息充当方式では、過払いになっている利息にも利子が付き、その金額によって、新たな借金の減額、または相殺がされますが、棚上げ方式では、借金の元本にのみ利子が付く方式のため、結果として、棚上げ方式の方は過払い金が少なく計算されるのです。ただし、棚上げ方式は、最高裁により不合理との判決もされています。

債務整理は弁護士と司法書士、どちらに頼むべき?

どちらに頼むべきか

債務整理に関しては、弁護士と司法書士には明確な業務範囲のすみ分けがあるので、双方の共通の業務範囲内で、どちらに頼むかの判断は必要です。

限定的な債務整理で解決が見込める案件については、身近な司法書士のほうが債務者に対応する時間の点で優位かもしれませんが、一概に判断はできません。

まずは個別無料相談の場を利用するなどして、その弁護士、司法書士が信頼に値するかの判断をすることが重要になります。

結果として、「この人に依頼して良かった」ということになるよう自分の目で判断しましょう。

弁護士と司法書士の業務範囲を理解してから債務整理の依頼先を決めよう

今回は、債務整理の内容による弁護士と司法書士の業務範囲の共通部分と相違部分について解説し、それぞれの債務整理方法に依頼した場合の費用の概算、およびトラブル事例をご紹介しました。

債務整理を進めるにあたり、弁護士、司法書士とは、場合によっては解決まで長時間にわたりお付き合いをすることになります。

長期間の付き合いの中でトラブルが起こらないようにするには、両者の業務範囲や費用などを十分に理解してから、どちらに依頼するのかを判断する必要があるでしょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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